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垂線の不思議(その1)

垂心を「cinderella」で作図して、その後垂線を何本か引いてゆくと同一円周上に並ぶ4点以上の点や、何組かの平行な直線、1点で交わる3つ以上の直線や円などが見つかります。幾つかはほとんど自明ですが、私自身、まだ証明を確認していなものもあります。とりあえず、これら見つかった性質を以後4回に分けて報告しようと思います。

下の図1−1は「cinderella」で作成しました。以後、「垂線の不思議」シリーズでは一貫してこの図1−1をテーマに不思議を探求してゆきます。

まず、頂点A,B,Cから対辺へ垂線を下ろし、その足をD,E,Fとします。3つの垂線の交点を垂心といいます。垂線の足Dから辺CA,ABへ垂線を下ろしその足をP,Q、垂線の足Eから辺AB,BCへ垂線を下ろしその足をR,S、垂線の足Fから辺BC、CAへ垂線を下ろしその足をT,Uとおきます。さらに、直線FUと直線ERの交点をL、直線FTと直線DQの交点をM、直線DPと直線ESの交点をNとおきます。

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図1−1

図1−1にはいたるところに垂直が隠れているので(隠れてはいなか)、共円条件(同一円周上に点が並ぶ条件)を満たす4点がたくさん見つかります。中学で習う共円条件に

相対する角の和が180度四角形は円に内接する。

というのがあります。したがって、もし四角形の向かい合2角がともに直角であれば、四角形の4つの頂点は同一円周上にあることになります。そのような四角形、すなわち4点の組がたくさんみつかります。

(1) 4点A,R,L,Uは同一円周上にある。
(2) 4点B,T,M,Qは同一円周上にある。
(3) 4点C,P,N,Sは同一円周上にある。

これらを下の「cinderella」の図1−2で緑色の円として描きました。他に、

(4) 4点A,Q,D,Pは同一円周上にある。
(5) 4点B,S,E,Qは同一円周上にある。
(6) 4点C,D,F,Tは同一円周上にある。

これを図1−2で茶色で描きました。また、三角形ABCの頂点と垂心Hと垂心Hから三角形の辺へ下ろした垂線の足を頂点とする3つの四角形も共円条件を満たします。

(7) 4点A,F,H,Eは同一円周上にある。
(8) 4点B,D,H,Fは同一円周上にある。
(9) 4点C,E,H,Dは同一円周上にある。

これを黄色で描きました。この図1−2は頂点A,B,Cのどれかをマウスで左クリックしながらドラッグすると、頂点が移動し図を変形することができます。図の変形に伴い円周も変化しますが、どの円周も変わらず同じ4点を通りながら変形することを確認してください。

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図1−2

見落としがちですが、三角形ABCの頂点を含まないが、向かい合う角が直角の四角形があります。すなわち、

(10) 4点R,F,E,Uは同一円周上にある。
(11) 4点T,D,F,Qは同一円周上にある。
(12) 4点P,E,D,Sは同一円周上にある。

図が複雑になってしまったので、改めて下の図1−3に赤色の円で表しています。マウスで、頂点A,B,Cを動かして確認してください。

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図1−3

共円条件を満たす4点はまだあります。上の例ほど自明ではなく、証明の必要がありますが、それほど難しくありません。

(13) 4点A,U,T,Bは同一円周上にある。
(14) 4点B,Q,P,Cは同一円周上にある。
(15) 4点C,S,R,Aは同一円周上にある。

例えば、4点A,Q,D,Pが同一円周上にあることから、4点B,Q,P,Cの共円条件が証明できます。この3つの円を下の「cinderella」の図1−4に、オレンジ色の円で表しています。

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図1−4

ここまでで、15組の同一円周上にある4点の組を見つけました。ぜひ、それぞれの図の頂点A,B,Cをマウスでコントロールして、円をなして並ぶ15組の4点の不思議を体験してください。

ところで、このような共円条件を満たす4点の組はまだ存在するのでしょうか?皆さんも考えてください。とりあえず、長くなったので、続きを次回にまわします。

垂線の不思議(その2)

「垂線の不思議(その1)」では、頂点から辺へ3本の垂線を下ろし、その足からさらに合計6本の垂線を引いた図形を考察し、15組の同一円周上に並ぶ4点を見つけました。そして、最後に「まだ、存在するのでしょうか?」という問いで閉めてしまいました。その答えは

まだ、ある!!

です。何と同一円周上に並ぶ6点が存在するというのです。この6点を含む円のことを「Taylor(テイラー)円」といいます。以下に、定理をまとめましう。

定理 三角形の頂点A,B,Cから対辺へ垂線を下ろし、その足をD,E,Fとする。さらに、点Dから辺CA,辺ABへ下ろした垂線の足をP,Q、点Eから辺AB,辺BCへ下ろした垂線の足をR,S、点Fから辺BC,辺CAへ下ろした垂線の足をT,Uとおく。このとき、6点P,Q,R,S,T,Uは同一円周上に存在する。

下のcinderellaで作成した図2−1の頂点A,B,Cのどれかを、マウスで左クリックしながらドラッグして動かすことができます。図が変形しても、6点P,Q,R,S,Tは常に円をしてきれいに整列しています。

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図2−1

以外なところに、円が隠れていましたね。そして、結局「垂直の不思議(その1)」で提示した図から、合計16個の円が見つかったわけです。それにしても、最後の16番目の円はなかなか格好いいです。6点がきれいに円をなして並ぶのですから。「テイラー円」のことを「6点円」と呼ぶこともあるようです。
三角形に9本の垂線を引いたら、16個の円が現れました。垂直と円は相性がいいのでしょうか?

私は「結構、不思議!!」と感動しています。皆さんはどうですか?しかし、まだ終わりではありません。次回は、再び「垂線の不思議(その1)」で提示した垂線の図に戻って考察し、隠れている平行な直線の組を見出してゆきます。

垂線の不思議(その3)

垂線の不思議(その1)」と「垂線の不思議(その2)」では、同一円周上にある4点以上の点の組が多数存在することを紹介してきました。実は、同一円周上の4点以上の組が2つ連続すると、平行線が現れ(「連続する共円条件の不思議」を参照)。それゆえ、「垂線の不思議(その1)」で提示した図からも多くの平行線の組が見つかることが期待できます。まずは、提示した初めの図1−1をここでも再掲しておきましょう。

テーマ図1−1の定義を復習します。三角形ABCの各頂点から、各辺へ垂線を下ろします。3つの垂線の交点を垂心といい、Hで表します。垂線の足Dから辺CA,ABへ垂線を下ろしその足をP,Q、垂線の足Eから辺AB,BCへ垂線を下ろしその足をR,S、垂線の足Fから辺BC、CAへ垂線を下ろしその足をT,Uとおきます。さらに、直線FUと直線ERの交点をL、直線FTと直線DQの交点をM、直線DPと直線ESの交点をNとおきます。

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図1−1

図1ー1には合計16個の点があります。この中から2点を適当に選んで直線を引くことも許すと、「互いに平行な直線の組はどれくらい見つかるか?」を問題にしています。 まずは、定義から自明な次の直線の組がみつかるでしょう。

(1)の3つの直線は定義から全て辺BCに垂直なので、互いに平行です。下図3−1において、これら平行な3直線を黄色で図示しています。同様に、(2)の3つの直線は辺CAに垂直、(3)の3つの直線は辺ABに垂直ですから、それぞれ、互いに平行であることが分かります。これら平行な3本の直線の組を、それぞれ青色、緑色で図3−1に図示しました。

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図3−1

次の平行線の組は共円条件を満たす4点の組が連続することにより証明できます。

(4)は、四角形RFEUと四角形FBCEが同一円周上にあることにより示されます。証明を示しておきます。

(証明) 四角形RFEUが同一円周上にあるから、であり、四角形FBCEが同一円周上にあるから、である。よって、により同位角が等しいので、直線RUと直線BCの平行が証明された。

同様に、四角形TDFQ、四角形DCAFが同一円周上にあることから、(5)が証明でき、四角形PEDS,四角形EACDが同一円周上にあることから、(6)が証明できます。下図3−2において平行な直線の組を同色で表しています。つまり、(4)の平行線を青色、(5)の直線を赤色、(6)の直線を緑色で図示しました。

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図3−2

同様の方法で証明できる平行線が、さらに存在します。三角形ABCの外接円を考え、頂点A,B,Cにおける外接の接線をa、b、cとおきましょう。すると、次の平行な直線の組が見つかります。

(7)、(8)、(9)の証明には接弦定理を用いますが、同一円周上の4角形を組み合わせを考えることにより、直線の平行が証明できる、という点で(4)、(5)、(6)の証明とほぼ同様といえます。

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図3−3

図3−3において、三角形の外円を緑の円で表しました。平行である3つの直線の組(7)を黄色で、(8)を濃い緑色で、(9)をオレンジ色で図示しました。

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