平面図形の不思議 > 三角形の五心の不思議


オイラー線

三角形の有名な五心(重心、内心、外心、垂心、傍心)は、不規則に点在しているわけではありません。定義は全く違っていても、互いに関連し合い、ある法則性を保ちながら並んでいるのです。この位置関係について幾つかの法則が知られていますが、その中でも有名なのが次の定理です。なお、三角形の五心の定義については「三角形の五心の定義」を参照して下さい。
定理 三角形ABCの外心(O)、重心(G)、垂心(H)は一直線に並び、Gは、線分OHを1:2に内分する。

作図ソフト「cinderella」を用いて次の図を作りました。

三角形ABCの外接円(黄色の円)と外心(黄色の点)、中線(緑色の線)と重心(緑色の点)、垂線(青色の線)と垂心(青色の点)があり、外心O、重心G,垂心Hがピンク色の直線上にあることが分かりますね。このピンク色の線がオイラー線です。しかも、重心Gは線分OHを1:2に内分している様子も分かります。

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図の頂点A,B,Cを、マウスで左クリックしたままドラッグすることにより動かしてみることができます。三角形の頂点が移動するに従い各点も動きますが、常に外心、重心、垂心がオイラー線上に並んでいることが確認できますね。

内心、傍心と外接円の美しい関係(1)

今回は、内心、傍心と外接円を描いたときにできる面白い関係を紹介します。

三角形ABCの内心をI、傍心をIA,IB,ICとおきます。(ただし、直線AI上の傍心をIA直線BI上の傍心をIB,直線CI上の傍心をICとします。)さらに、直線I IA,直線I IB,直線I ICと外接円との交点をそれぞれP,Q,Rとすると、次の事実が成り立ちます。cinderellaで生成した次の図1をご覧になると、分かりやすいでしょう。(九点円については、「九点円(その1)」参照のこと)

(1) 僮AIBICの垂心は僊BCの内心Iである。
(2) 僊BCの外接円は、僮AIBICの九点円である。

(証明) 図1をご覧になると証明を追いやすいと思います。
(1)例えば、直線I ICと直線IAIBが垂直関係にあることを証明しましょう。直線I ICが頂角Cの内角の2等分線であることから、∠ICB=∠ICAです。また、直線IAIBが頂角Cの外角の2等分線であることから、∠BCIA=∠ACIBです。ところが、この4つの角の和は180°であるから、∠ICIA=∠BCIA+∠ICB=180°÷2=90°となります。同様に、直線I IBと直線ICIAの垂直関係及び、直線I IAと直線IBICの垂直関係も証明できるので、内心Iは僮AIBICの垂心です。
(2) 点A,B,Cは僮AIBICの各頂点から対辺へ下ろした垂線の足であるから、これらの3点を通る唯一の円である凾`BCの外接円は僮AIBICの九点円となります。(証明終)

次の図1をcinderellaで作成しました。僊BC(内部が緑色の三角形)、内接円、傍接円(濃い緑の円)、それらの中心である内心I、傍心IA,IB,IC(図の中ではI_A,I_B,I_Cで表記)を図示し、傍心を頂点とする三角形IAIBIC(傍心三角形という)の内部をピンク色で塗りました。このとき、僊BCの外接円(黄緑色の円)が傍心三角形IAIBICの九点円となります。また、三角形ABCの各頂点の内角、外角の2等分線(オレンジ色の線)は、僮AIBICの頂点から対辺への垂線でもあり、これらの交点は僊BCの内心または傍心でもあります。

図1の点A,B,C(内部が緑色の三角形の頂点)のどれかを左クリックしたままドラッグすると動かすことができます。性質(1)(2)を確認してみて下さい。

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図1

さらに、九点円の定義を思い出せば、次の事実も証明できます。図2をご覧になりながら題意を把握してみて下さい。

(3) 僊BCの外接円は、線分IAIB、線分IBIC、線分ICIAそれぞれの中点(図2のL,M,N)を通る。
(4) 僊BCの外接円は、線分I IA、線分I IB、線分I ICそれぞれの中点(図2のD,E,F)を通る。
(5) 4点の組B,I,C,IA、C,I,A,IB、A,I,B,ICはそれぞれ同一円周上(水色の円)にあり、その中心はそれぞれ線分I IA、線分I IB、線分I ICの中点(図2のD,E,F)である。

(証明) 図2をご覧にると、証明を追いやすいと思います。
(3) 三角形の九点円は、3辺の中点をも通ること(九点円の定義)から、明らかです。
(4) 三角形の九点円は、その垂心と3つの頂点それぞれとの中点をも通ること(九点円の定義)から、明らかです。
(5) 4点の組B,I,C,IAが同一円周上にあり、その中心が点Dにあることのみ示します(他は同様)。(1)の証明により、点B,Cは僮AIBICの頂点IB,ICからそれぞれの対辺へ下ろした垂線の足であるから、∠IBIA=∠ICIA=90°が分かります。したがって、4点の組B,I,C,IAは同一円周上にあり、線分I IAは円の直径です。また(4)の結論から、点Dは内心Iと傍心IAの中点であること、すなわち、四角形BICIAの外接円の中心であることが示されます。(証明終)

次の図2はcinderellaで作成しました。最初の図1の僊BCとその外接円、内心I、傍心IA、IB、IC、僮AIBIC、に加え、傍心IA、IB、ICのそれぞれの間の中点L,M,Nおよび、内心Iと頂点A,B,Cのどれかを両端にもつ線分それぞれの中点D,E,F(これらは線分と外接円との交点でもあります。)を図示しています。さらに、四角形BICIA、四角形CIAIB、四角形AIBICそれぞれの外接円(水色の円)も加えました。

図2の点A,B,C(内部が緑色の三角形の頂点)のどれかを左クリックしたままドラッグすると動かすことができます。性質(3)(4)(5)を確認してみて下さい。

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図2

垂心と外接円の美しい関係

垂心と外心を描いてみると互いに相似な三角形が現れることを、「垂心と外心に隠れている合同または相似な三角形」で紹介しましたが、三角形の外接円を描いてみると、新たに合同な三角形と平行四辺形が現れます。しかも、この性質はオイラー線と九点円の証明の鍵になる重要な性質です。今回はこれらの美しい関係を紹介しましょう。

1.垂心と外接円に隠れている合同な三角形

三角形の垂心とは「各頂点から対辺へ下ろした垂線の交点」でした。僊BCの頂点A,B,Cから対辺への垂線の足をそれぞれD,E,Fとおき、さらに垂線と外接円との交点を順にD’、E’,F’とおきます。次の図1をご覧になってください。図1に内部を3色に塗り分けられた合計12個の三角形があります。このうち同色の三角形は互いに合同または相似の三角形を表しています。

そのうち、三角形ABC内部の6個の三角形については「外心と垂心に隠れている合同または相似な三角形」において説明したました。この6個の三角形も含め、僊BCの外部にある6個の三角形の合同、相似関係について、以下の(1)(2)(3)が成り立ちます。

(1) 僊FH≡僊FF'∽僂DH≡僂DD'
(2) 傳FH≡傳FF'∽僂EH≡僂EE'
(3) 傳DH≡傳DD'∽僊EH≡僊EE'

図1の頂点A,B,Cのどれかを左クリックしたままドラッグして、三角形を変形できます。12個の三角形のうち、同色の三角形どうしが常に合同または相似の関係を保っていることが観察できます。

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図1

上の図において三角形の合同関係から得られる次の関係にも注目しましょう。

(4) 点Dは線分D’Hの中点である。
(5) 点Eは線分E’Hの中点である。
(6) 点Fは線分F’Hの中点である。

この関係は九点円の存在の証明にとって重要になります。

2.垂心と外接円に隠れている平行四辺形と長方形

今度は、垂心Hと各辺の中点L,M,Nを結び、その延長線と外接円の交点を、次の図2のように、それぞれL',M',N'とおきます。すると、図2の通り、紫色、赤色、緑色に内部が塗られた3つの平行四辺形が現れます。なかなか美しいですよね!

(7) 四角形AHBN'、四角形BHCL'、四角CHAM'は平行四辺形をなす。したがって、点L,M,Nは、線分HL',HM',HN'の中点である。

(証明) 点Aを通り辺ACに垂直な直線と、点Bを通り辺BCに垂直な直線との交点をKとする。この定義と垂心Hの定義により、直線AHと直線KB,および直線AKと直線HBはそれぞれ互いに平行であるから、四角形AHBKは平行四辺形である。それゆえ、∠AHB=∠BKAである。
一方、∠AHB=∠DHE=180°−∠BCAでもあるから、∠BKA+∠BCA=180°が導かれ、4点A,B,C,Kは同一円周上にあること、すなわち、点Kは外接円上にあることが示された。
さらに、平行四辺形AKBHの対角線はそれぞれの中点である点Nで交わることから、結局、点Kは直線HNと外接円との交点N’に一致しなければならない。よって、四角形AHBN’は平行四辺形である。他の場合も同様に示される。(証明終)

図2に示されている通り、3つの平行四辺形の内部を、それぞれ紫色、赤色、緑色に塗って図示しました。図2の頂点A,B,Cのどれかを左クリックしたままドラッグすると動かすことができます。

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図2

さらに上図(図2)には、3つの長方形が隠れているのですが、見つけられますか。次の図(図3)をご覧になれば、お気づきになると思います。

 四角形ACL'N'、四角形BAM'L'、四角形CBN'M'は長方形をなす。

これらの長方形を図3に図示しました。これらの3つの長方形は互いに重なり合うので、長方形の内部を透明度をもつ色(紫色、緑色、オレンジ)で塗り分けました。図の頂点A,B,Cのどれかを左クリックしたままドラッグすると動かすことができます。

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図3

3.オイラー線の証明

三角形の垂心と外接円に隠れている平行四辺形(図2)が分かると、次のオイラー線の存在が容易に証明できます。(オイラー線については、「オイラー線」を参照して下さい。)

定理 三角形ABCの外心(O)、重心(G)、垂心(H)は一直線に並び、重心Gは、線分OHを1:2に内分する。(この直線をオイラー線という。)

平行四辺形からオイラー線を証明する図を図4に示しました。この図4をご覧になりながら以下の証明を追ってみてください。

(証明) 外心の定義「3辺の垂直2等分線の交点」、及び、垂心の定義「3頂点から対辺への垂線の交点」より、図4のように、直線OLと直線AHは平行です。点Lは平行四辺形BHCL'の対角線の交点なので、L'L:L'H=1:2です。したがって、儉'LOと儉'HAは相似比1:2の相似な関係にあるから、OL:AH=1:2となります。
一方、重心Gは中線ALを2:1の比に内分するので、今得られたOL:AH=1:2の関係と、∠OLG=∠HAG(平行な2直線OLとAHの錯角)により、儖LG∽僣AGが示されます。とくに、∠OGL=∠HGAから、3点、O,G,Aは1直線上にあります。また、その相似比1:2に注意すれば、OG:GH=1:2も分かりますね。(証明終)

補足 ベクトルの内積を利用するシンプルな証明も知られています。

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図4

4.九点円の証明

上の1節の性質(4)(5)(6)と、2節の性質(7)を利用すると、九点円の存在が容易に証明できます「九点円(フォイエルバッハの円)(その1)」参照)。以下の証明を読む前にこれらの性質を確認しておくと理解しやすいかも知れません。

右図で、僊BCとその外接円が図示されています。頂点A,B,Cから対辺へ垂線を引き、その交点(垂心)をH、垂線の足をそれぞれD,E,F、3辺BC,CA,ABの中点をそれぞれL,M,Nとおき、
直線HD,HE,HF,HL,HM,HNの延長線と外接円の交点を、右図のようにD',E',F',L',M',N'とおきました。

性質(4)(5)(6)より、
F'F=FH、D'D=DH、E'E=EH
が成り立ち、性質(7)より、
N'N=NH、L'L=LH、M'M=MH
が成り立ちました。右図で状況をご覧になって下さい。

それでは、九点円の定義です。(九点円(フォイエルバッハの)(その1)」より再掲)

定理 三角形ABCについて、三辺BC,CA,ABの中点をL,M,N、頂点A,B,Cそれぞれから垂線を下ろし、その足をD,E,F、垂心Hと頂点A,B,Cそれぞれとの中点をP,Q,Rとおくと、9点L,M,N,D,E,F,P,Q,Rは同一円周上に位置する。(9点が並ぶ円のことを”九点円”という。)

上の図から分かるように、僊BCの外接円上の6個の点D',E',F',L',M',N'を垂心Hを中心に1/2倍に縮小移動すれば、僊BC上のD,E,F,L,M,Nの6点の上に移動します。同時に、この縮小移動により、頂点A,B,Cも線分AH,BH,CHの中点P,Q,Rの上へと移動します。

このとき、外接円はどこに移動するでしょうか?外接円も垂心Hを中心に縮小移動しますが、この縮小された円は、結果として点D,E,F,L,M,N,P,Q,Rの合計9個の点を通ることになります。すなわち、この縮小された円こそ九点円に他なりません。すると、九点円の半径が外接円の半径の1/2倍であることと、その中心が外心と垂心の中点であることも自明になります。(「九点円(フォイエルバッハの)(その3)」照)

それでは、垂心Hを中心とする1/2倍の縮小移動を実際に行ってみましょう。そのために、次の図5をcinderellaで作りました。

Javaインタラクィブ作図に使えうにしてださい

図5

凾`BCと外接円と、9点円を定義する9個の点D,E,F,L,M,N,P,Q,Rは定理の通り作図しました。また、直線HD,HE,HF,HL,HM,HNと外接円の交点を図のように点D',E',F',L',M',N'とおいています。それ以外に、水色の円、図の左上に線分、その上に4つの点があります。

4つの点のうちオレンジ色の大きめの点(点W)をマウスで左クリックしながらドラッグすると、水色の円が連動して動きます。この点Wを、縮小移動をコントロールする点と考えてください。点Wを線分上で左(または右)に動かすことによって、垂心Hを中心に水色の円が拡大(または縮小)移動します。

まず、点Wを線分上の点Xに移動させると、水色の円は外接円に重なります。この円は点D',E',F',L',M',N',A,B,Cを通っています。次に点Wを右に移動し、点Yへ移動させます。外接円にあった水色の円は垂心Hを中心に1/2倍に縮小され、図の点D,E,F,L,M,N,P,Q,Rを通る9点円ができました。9点円の中心(緑の点)も外心と垂心のほぼ中点にありすね。この移動を目にすれば、9点円の存在は自明に感じてしまいそうです。(ちなみに、点Wを点Zまで移動すると、水色の円は垂心Hの1点に縮んでしまいます。また、点A,B,Cのどれかを左クリックしながらドラッグすると三角形を変形できますよ。)

補足:三角形の垂心と外接円上の動点の中点の軌跡が9点円であると解釈することもできます。

9点円は実に不思議な図形です。その不思議さをもっと知っていただくために、「9点円(フォイエルバッハ円)」の(その1)から(その5)までをご覧になって下さい。

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