平面図形の不思議 > 等角共役点


2種類の6点円の意外な関係

前回の「等角共役点と6点円」で紹介した6点を通る2種類の円について、もっと深く調べてみましょう。


等角共役点が垂心と外心の場合


等角共役点と5心の関係」で説明した通り、垂心と外心は互いに等角共役な関係にありました。それでは、等角共役な2点P,Qを垂心と外心にとると、2種類の6点円は何を表すのか気になりませんか?


このことを、下に示した図を使って調べてみましょう。


等角共役点P,Qとそれらから定義される2種類の6点円を緑と紫で表しています。それに、外心Oと垂心H(ともに黄色の点)を図に加えています。

















Javaをインタラクティブ作図用に使えるようにしてください。

さて、点Pを左クリックしたままドラッグして動かしてみましょう。今回は、点Pを凾`BCの垂心Hへ移動してみて下さい。
すると、点Pの等角共役点Qも連動して動き、外心Oまで移動することが分かります。(垂心と外心は互いに等角共役なので当然ですね!)


ここで、2種類の6点円(緑と紫の円)に注目しましょう。このとき、2種類の円は、凾`BCの外接円と九点円になっているのです。


もっと注意深く観察すれば、「垂心と外接円の美しい関係」の(4)(5)(6)(7)の関係も図から自明であることが分かります。


等角共役点が内心と傍心の場合


今度は、点P,Qが三角形の内心、傍心の場合について、下の図を用いて調べてみましょう。
今回は、図に三角形の辺と内心(I)および傍心(I1,I2,I3)を黄色の点として加えています。















Javaをインタラクティブ作図用に使えるようにしてください。

まず、点Pを左クリックしながらドラッグして動かします。点Pを内心Iへ移動すると、点Qも同じ内心Iへ移動します。(内心の等角共役点は内心自身なので当然ですね。)
このとき、紫の円は内接円になることが確認できます。(緑の円は特に意味があるわけではないようです。)


次に、点Pを、傍心I1,I2,I3のいずれかの点へ移動してみましょう。やはり、点Qも同じ傍心へ移動し、紫の円は傍接円になることが確認できますね。


等角共役点が外接円上にある場合


最後に、等角共役点の一方が三角形ABCの外接円上にある場合を調べてみましょう。今度は下の図を使います。図に、三角形の外接円(青色の細い線)を加えています。

















Javaをインタラクティブ作図用に使えるようにしてください。

今回は、点Pを三角形の外接円上に移動してください。点Pの上で左クリックしながらドラッグすると動かすことができます。外接円上のうち頂点でなければ、どこに移動してもよいですよ。


すると、意外なことに2つの6点円(緑の円と紫の円)は直線になってしまうことに気づきます。また、点Qは図中にないことにも気づきますか?実は外接円上の点の等角共役点は、常に”無限遠点”にあるので、画面上には表示されません。


さらに、この6点円であった紫の直線と緑の直線には、幾何学的な意味があります。紫の直線は凾`BCのシムソン線に一致し、緑の直線は凾`BCのシュタイナー線に一致します。定義や基本的な性質については、ブログの記事「シムソンの定理とは」と「シュタイナー線とは」で確認することができます。


このように等角共役点の作る6点円は、外接円、九点円、内接円、傍接円、シムソン線、シュタイナー線に関連しているのです。

三角形の辺に接する二次曲線

等角共役点の著しい性質として、三角形の3辺に接する二次曲線についても触れなければなりません。「九点円(フォイエルバッハの円)(その5)」で紹介した、垂心と外心を焦点にもつ楕円や双曲線、シムソンの定理の項目で紹介した「三角形の傍接放物線」は、これから紹介する事実の特殊なケースに過ぎないことが分かります。一見無関係に思える図形的性質が、背後で深く結びついていることを知ると、感動しますよね。(数学ではよくあることですが)


まず、等角共役点の定義を復習しておきます。


定義(等角共役点)僊BCの∠A、∠B、∠Cの内角の2等分線をそれぞれa,b,cとおく。僊BCと、任意の点Pに対して、直線APの直線aに関する線対称な直線、直線BPの直線bに関する線対称な直線、直線CPの直線cに関する線対称な直線、合計3つの直線はちょうど一点で交わる。このとき3直線の交点を点Pに対する等角共役点という。

このとき、次の事実が成立します。


定理 三角形ABCについて互いに等角共役な2点が与えられているとき、その2点を焦点とし、凾`BCの3辺に内接する二次曲線が存在する。

下図が定理を説明する図です。凾`BCと互いに等角共役な2点PとQ、そして「等角共役点と6点円」で紹介した2種類の6点円を紫と緑で表現しています。さらに、上の定理で紹介している二次曲線が黄色の曲線です。このページの初期状態では楕円になっていると思いますが、黄色の楕円は、確かに、2点P,Qを焦点にもち凾`BCの3辺に接しています。(実は、紫の円にも接している。)


















上の図の点Pを左クリックしながらドラッグすると動かすことができます。点Pの移動とともに、等角共役点である点Qも連動して移動し、黄色の曲線も様々に形を変えていることが分かると思います。

実は、点Pと点Qの位置に応じて、黄色の曲線の種類は以下のように決まるのです。


互いに等角共役な点Pと点Qがともに三角形ABCの辺上にないものとする。このとき、(1)から(4)のどれかが成立する。

(1) 点Pと点Qの両方が凾`BCの内部にあるとき、二次曲線は楕円になる。

(2)点Pと点Qのうち一方が凾`BCの外部にあり、かつ外接円の内部にあるとき、もう一方は外接円の外部にある。このとき、二次曲線は双曲線になる。

(3)点Pと点Qのうち一方が凾`BCの外接円上(ただし頂点を除く)にあるとき、もう一方は無限遠点にある。このとき、二次曲線は放物線になる。

(4)点Pと点Qの両方が凾`BCの外接円の外部にあるとき、二次曲線は楕円になる。

文章で表そうとすると複雑で分かりにくいですが、マウスで図形をいじって変形しているうちに理解できると思います。

点Pを三角形の内部、三角形の外部、さらには外接円上、外接円の外部へと移動し、黄色の二次曲線が上の通り形を変えてゆく様子を調べてみて下さい。このとき、常に二次曲線は三角形の3辺に接する様子、紫の円(あるいは直線)にも接する様子も、併せて観察してみましょう。

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